📌 この記事のポイント
シロアリのメインの食べ物は家の柱や木材。でも、畳が先に食べられることで「気づきのきっかけ」になり、家本体を守れるケースもあります。定期的な畳替えは、簡易的なお家の点検にもなる——長崎の畳職人がお伝えします。
関東ではほぼいないと。本当かなと思って調べてみたら、確かに九州は被害が多い地域でした。畳屋からすると、畳替えで床を開けたときに「あ、シロアリ来てたかも」と気づくこと、思っているより珍しくないんです。
でも実は、畳が先に食べられているおかげで柱まで被害が及ばずに済んだ、というケースもあります。畳がいわば"防波堤"みたいな役割を果たしてくれるんですよね。
「シロアリは九州に多い」は半分本当
結論から言うと、シロアリ自体は北海道北部以外の日本ほぼ全土にいます。関東にも普通に生息しています。ただし、被害がひどい種類は西日本に集中しているのが事実です。
住宅を加害する2大シロアリ
| 種類 | 分布 | 特徴 |
|---|---|---|
| ヤマトシロアリ | 北海道北部以外の ほぼ全国 |
関東のシロアリの大半はこちら。湿った木材を好む。コロニーは数万匹。被害の進行は比較的ゆっくり。 |
| イエシロアリ | 九州を中心に 西日本 |
世界の侵略的外来種ワースト100。1巣で100万匹超。加害速度が非常に速い。九州では古くから「堂倒し」と呼ばれて恐れられてきた。 |
関東の方が「うちの近くにシロアリなんていないよ」と言うのは、おそらく加害力の強いイエシロアリの被害をあまり経験していないから。ヤマトシロアリはいるけれど、被害が深刻になる前に気づきにくいんですよね。
九州、特に長崎はイエシロアリにとって居心地のよい環境がそろっています。
- 温暖な沿岸部……長崎の気候はイエシロアリの繁殖に最適
- 傾斜地の住宅……長崎特有の地形で床下の風通しが悪くなりやすい
- 梅雨〜夏の高湿度……6〜7月にかけて羽アリの群飛シーズン
シロアリの本命は「家の柱」 ― でも畳も食べる
シロアリが本当に狙っているのは、家を支える柱や床下の木材(大引・根太)です。畳はメインの食事ではありませんが、イ草や藁もセルロースを含む植物性素材なので、ついでに食べられてしまいます。
言い換えれば、畳はシロアリにとっての"前菜"のような存在。だから、畳に異変が出るころには、床下の木材にシロアリが入っているサインかもしれません。
畳が「気づきのきっかけ」になる
こんなサインがあれば、シロアリが活動している可能性があります。
- 畳の表面に土のような筋が見える……シロアリが水分を保つために作る「蟻道(ぎどう)」と呼ばれる通り道
- 畳を踏むとふかふか・ぶかぶか沈む……畳床の中が食害で空洞化しているサイン
- 畳を干すと裏面が粉状にぽろぽろ崩れる
- 畳のヘリに小さな穴や黒い粒(フン)が見える
- 6〜7月の夕方、和室で羽アリが大量発生した
狙われやすい畳の条件
- 古い藁床(わらどこ)……藁が湿気を含むとシロアリが好む環境に
- 床下の湿度が高い和室……日当たりが悪い、北側の部屋に多い
- 長年畳替えをしていない畳……イ草が劣化して食べやすい状態に
藁床と建材床、シロアリに強いのはどっち?
畳床(畳の中身)には主に3種類あります。それぞれシロアリへの強さが違います。
| 畳床の種類 | シロアリ被害 | 特徴 |
|---|---|---|
| 藁床(わらどこ) | 受けやすい | 稲藁100%。踏み心地・吸湿性は最高だが、シロアリ・ダニ・カビに最も弱い |
| 建材床 (インシュレーションボード) |
比較的少ない | 木質繊維板+ポリスチレンフォーム。藁が少ないため食害リスクは低めだが、ボード部分は食べられうる |
| 樹脂畳 (セキスイ美草など) |
ほぼなし | 畳表が樹脂製のため、表面はシロアリの餌にならない |
「シロアリが心配だから樹脂畳に変える」というのは少し極端ですが、築年数が古いお家で藁床を使っているなら、新調の際に建材床への切り替えを検討する価値はあります。
定期的な畳替えは、お家の"簡易点検"にもなる
これは畳屋として、いちばんお伝えしたいことかもしれません。
シロアリの侵入経路は、ほぼ100%が床下です。地面の中から侵入し、床下の木材を食べながら、やがて畳の方へ広がっていきます。
畳替えのために畳を上げる瞬間というのは、普段なかなか見えない床下を直接目で確認できる、数少ないタイミング。蟻道(土の筋)や湿った木くずがあれば、その場で気づくことができます。
うちで畳替えをするときも、必ず床下の状態を見るようにしています。気になることがあれば、その場でお客様にお伝えします。
もちろん、これはあくまで畳屋ができる簡易的なチェックです。「ちゃんと調査してほしい」「徹底的に予防・駆除したい」という場合は、シロアリ専門業者さんの本格点検が必要になります。畳替えで気になるサインが見つかったら、専門業者さんへの調査依頼——という流れがいちばん安心ですね。
長崎・九州ならではの注意点
梅雨入り前の点検がおすすめ
イエシロアリの羽アリ群飛は6〜7月の夕方に集中します。梅雨入り前の5月くらいまでに畳の状態を確認しておくと、被害が拡大する前に対応できます。
築20年以上の戸建ては特に注意
長崎は古い住宅が多く、傾斜地に建っている家も少なくありません。築20年を超えていて、和室の畳が一度も替えられていないなら、一度プロの目でチェックするのがおすすめです。
マンションでも油断できない
マンションの低層階や、土間続きの部屋でもシロアリ被害の事例はあります。「マンションだから大丈夫」とは言い切れません。
畳屋とシロアリ業者、それぞれの役割
畳屋とシロアリ業者は、得意分野が違います。それぞれの役割を知っておくと、お家のメンテナンスがスムーズになります。
| 畳屋(うちのような) | シロアリ専門業者 | |
|---|---|---|
| 得意なこと | 畳替えのついでに床下を簡易チェック | 本格的な調査・予防・駆除施工 |
| タイミング | 10年に一度の表替え・新調のとき | 5年に一度の防蟻処理が目安 |
| 得意な発見 | 畳の異変・蟻道・湿気 | 床下全体の被害状況・侵入経路 |
定期的な畳替えは、お家を守るちょっとした習慣。気になるサインが見つかったら、シロアリ専門業者さんへの本格点検につなぐ。この流れを覚えておいていただけると、安心して長くお家を使えます。
当店でも、畳替えのときに気になる兆候があれば、その場でお伝えします。信頼できるシロアリ業者さんもご紹介できますので、お気軽にご相談ください。
そろそろ畳替えのタイミングかも、と感じたらお気軽にどうぞ。
畳替えと一緒に、床下の状態もチェックします。お見積もりは無料です。LINEで写真を送るだけでもOK。